『この神風舞う伊㔟の國は、はるか常世(とこよ)の國からの余韻が波のように幾度となく寄せて来る國。
そして海に沿った美しい國です。
この國に居たいと思います。
(是神風伊㔟國 則常世之浪重浪歸國也 傍國可怜國也 欲居是國)』
(日本書紀 垂仁天皇紀より)
理想の地を求めておられた天照太御神は、ある時そう倭姫命に告げられたのだそうです。
常世とは、かつて太古の昔、國常立太神(くにとこたちおほかみ)が治めたとされる、遠い遠い果ての海原にあったとされる理想郷。國「常」立の「世」、すなわち『常世』というわけです。
その末裔たちは、その世が終わり日本の國土に移り住んだ後も、満月の日の満潮の刻、神山の頂上の磐座などに常世の神を迎え、祀ったそうです。
天照太御神は、その常世の國の余韻の神氣がやって来るのを感じてこの伊㔟の地に落ち着かれたのであれば、
常世の國は、天照太御神と國常立太神が仲良く並び立つ、まさに理想郷だったのでしょう。
そのいにしえの祭り事に倣い、ある満月の朝、ある神山の頂上で満潮とともに常世の神、國常立太神達を迎え、祀りました。
写真はその日、はるか彼方常世の方角より昇る日の出です。
するとその三日後、不思議なことに、國常立太神を祀る玉置神社へのいざないがやって来ました。
思えば御神酒『國靈(くにたま)』の物語は、この時がはじまりだったのかも知れません。
なぜなら國靈とは、國常立太神とも言い換えられる、日本の國、そして國土の神靈そのもののことだからです。
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