そんな初対面の僕に、

『大社の九本柱に見たててたった九本だけ造り、非売品として大切なご縁の方に手渡すことにしました。
これはその、第一号です。』

と手渡されたのでした。

第一号とは、何と光栄ものをいただいたのかと、勝手ながら出雲大社の最も大切な一本『心御柱(しんのみはしら)』を託していただいたのだと受け取り、大切な場面で使うことに決めました。

さらに不思議なことに、その日の朝、そんな墨がいただけるなど思い浮かぶはずもないのに、なぜか地元の天満宮で『御神筆』を頒けていただいていたのです。

同じ日に、御神筆に合わせて貴重な御神墨まで手元にやってきたのです。

そして坂東さんには、こう言われていました。

『墨が使いごろになる半年後から使って下さい』

常世の神を迎えた祭を行ったのは、その日からピッタリ半年後のことでした。

はじまりの日は、ずうっと前に決まっていたのかも知れません。

ならば、御神酒 國靈(くにたま)の題字は、この御神藍墨で入れるしかないだろうと思うのです。