理想の教育を探し、結婚翌日沖縄行きを決意した話のつづき。
その学校で働くことを決意したとはいっても、そう簡単にいくはずもありません。
そりゃあ、さっき結婚したばっかりなのに、いきなり住んだこともない沖縄の地に独りで行こうっていうんだから、家族なら反対して当然ですよね。
もちろん家内には、事前に伝えてはいました。
結婚式の翌日、その学校を見学して、どうするかを決めるって。
僕も、気軽な沖縄移住みたいな風には全然思っていませんでした。でも、実際にそこに行ってみると、それでもどうしても行きたい、行かにゃいかんと思う場所だったんです。
みんなの反対のなかを行くほどの。
学校は、恩納村というリゾート地にあるホテルの敷地内にありました。そうはいっても結構大きなスペースを使っていました。
グラウンドとして、ホテルの庭やビーチを、宿泊客の邪魔にならないのであれば使ってよいということでした。
そして、2人で学校を見学に行ったときにやっていたのが、「grab basket」というクラスでした。
内容はシンプル。
今日のテーマが、たとえば「友達」と決められます。あとは縦横10センチ程度の紙が配られて、BGMが流される。
それぞれにバラバラに散らばって、そのテーマについて思うことを書く。その時間、15分くらい。そして、それをbasketに入れて、スタッフか生徒がつかんで(grab)読み上げる。それだけ。
でも、散らばったあとの生徒の子達の顔は、違いました。みんな真剣そのもので、そのテーマと向き合っている。そして、書きながら涙ぐんでる子もいる・・・。
そして、読み上げられます。
「ここにくる前の自分はすごく暗かった。友達と話してても、気持ちの底ではいつもさめていた。夢もなかった。素直に笑うことも泣くこともできなかった。ひとりぼっちだと思っていた。ドリプラに来て、本当に友達と話してて楽しいと思えるようになった。まだ夢はないけど、 打ち込めることを見つけることができた。いま本当にHAPPY です。 THANK YOU ドリプラ !」
つぎつぎと、全部が読み上げられる。そのどれもが、真剣に自分の人生と向き合い、人生の意味を考え、自分がいまあることのありがたさや、立ち向かっている葛藤などをストレートに言葉にしたものでした。
僕はそれを、涙を流して聴いていました。
その感情を、どう説明したらいいかわかりませんでした。でも心のずっと奥のほうが揺り動かされるような、ここで僕になにかやれることがあるなら、やりたい!って思いました。
あとである生徒の子が、ああやって見学にくる大人で、涙を流してたのは僕が初めてだと言ってました。
僕もあんなに素直に泣いてるなんて、自分でも不思議でした。
いま振り返れば、なんとでも理由はつけられるんでしょうが、その時はただ、家内をはじめ家族にその感情を理解してもらうしかありませんでした。
だって、給料のない状態で家内を連れて行くことはできないから。
そして、前の仕事の区切りがついた3月末、東京木場での学校お披露目イベントから、スタッフとして学校に合流することになったのです。
つづく