御神酒國靈(くにたま)奉納プロジェクト

御神酒 國靈(くにたま)奉納プロジェクト 趣意書

『まず神へ捧げる。だからこそ最高を。感謝を籠めて。』 

そんな心で神に何かを捧げることを、私は『奉納』と呼んでいます。

太古の昔から、大地震や火山噴火、台風といった大自然の厳しさと、四季の移ろいを通じた彩りや恵みとともに暮らしてきた私たち日本人のご先祖様たち。

だからこそ日本人は、神に与えられたものによって生かされ、生かしていただいていることを知っていました。

だからこそ、その恐れと感謝が故に、神をまつることを行ってきました。

そして、その恐れと感謝が故に、神をまつる時には、初穂という、その年の最高のものを捧げてきました。

ものを作るようになってからも、その歴史、伝統は続いたことでしょう。

つまり、神に捧げるからこそ、最高のものを作ろう、最高のものを捧げようとする心です。

神に捧げるために、最高の努力をする。

その結果出来たものが、神に捧げられたのちに世に降ろされたらどうなるでしょうか。

神をも魅了せんとするその最高のものは、世をこの上なく豊かにするのではないでしょうか。

そしてそれは、ほんの百数十年前までは、日本のそこここにあったのではないでしょうか。

近年誰かを蹴落とすために向けられていたようなエネルギーは、神を喜ばせるために、それぞれの道の追求に注がれることになります。

もしそれが、『今』の社会で起こったら、私達はどれだけの豊かさに包まれることになるでしょうか…。

そんな懐かしい、でも新しい未来の社会、『奉納文化社会』をつくることを、私は密かに夢想しています。 

そんな未来を築くための第一歩、魁となるべく取り組んできたのが、御神酒 國靈(くにたま)プロジェクトです。

全國各地方の40人を超える方にご賛同いただき、そのみなさまのお力をお借りすることが出来ることになりました。

その方たちと、これからご縁をいただくみなさまと一緒に、新しい時代の扉を開くことが出来たら嬉しく思います。

これまでの歩みとこの御神酒に籠められた想いを書きました。お読みいただければ幸いです。

去年の旧正月の夜明け。お米づくりの最初の段階として、志摩磯部の御田植祭の地、伊雜宮の天照太御神にご降神していただくところから始まりました。

そこから今日までおよそ一年間、いろんな場所のいろんな神様に会いに行くことになり、お米づくりのご挨拶をして回りました。

伊勢の『神宮』の神様、
お酒の神様、奈良は『大神神社』、
熊野奥宮『玉置神社』や
京都亀岡『出雲大神宮』 
また東北岩手『艮ヶ崎』に坐す國土の神様、國祖國常立太神をはじめ、
たくさんの神様に見守られてきました。

今回のご神米イセヒカリは、平成の御代の到来に合わせ、それを祝うかのように伊勢のご神田に突然変異で現れ、伊勢の皇大神宮御鎮座二千年の年『イセヒカリ』と名付けられました。

このイセヒカリは、食味も魚沼産コシヒカリに匹敵し、収量も多く株も低くて台風にも強い、未来の日本を担うと言われているご神米。  

神話の時代、天照太御神は孫のニニギノミコトに斎庭の稻穗をお預けになり、日本の未来を委ねられました。

平成の御代に降ろされたこのイセヒカリもまた、新しい時代を迎えるため、現代のニニギノミコトに委ねられたのかも知れません。

ふたたび、日本の未来の礎を築くために…

そのお米、イセヒカリを使って御神酒を醸すことにしました。

なぜなら、お米から作るものでも酒を神に献げる事は特に『尊』いことだからです。

尊という字は、神の目線から作られたように思えます。 まず上半分の、酋(しゅう)。 

酒の入った甕(かめ)の象形文字である酉(とり)の上から出る点々は、醸されたての香り立つ氣。

醸されたてホヤホヤのお酒を表しています。 

酋長とは本来、酒を醸すことを任された責任者であり、それは集落の長の仕事。

それだけ酒を醸す者は『尊』敬されていたのです。 

そして下半分の寸の字は、両手を添えている人の姿。 

つまり『尊』の字があらわす様子は、醸されたての甕から香り立ち昇る酒をうやうやしく献げ持つ人の姿を表しているのです。 

すなわち、 

『醸成(カモナリ)し酒(ササ)を献(ササ)ぐ人は、そしてその姿は、尊い。』 

ということなのです。

神様がうむうむ、とその人、その姿をご覧になっている様子が伝わって来ませんか。 

貴方が御神酒を神様に奉納する姿は、神様にとって尊いものであるのです。

では何故、それが尊いのでしょうか。 

先ほど、敢えて酒を『ササ』と読みましたが、本来ササとも呼んでいました。 

サのつく言葉を挙げていくと、不思議な共通点が見えてきます。 

早苗(サなえ)、皐月(サつき)、早乙女(サおとめ)、五月雨(サみだれ)… 

このように、田植えにまつわる言葉の頭にこのサが付きます。 

さらには皐月の皐の字は、 『神に献げる稻』 の意味があるようです。

サとは、農耕や、神に献げる稻を作ること、そこに宿る穀靈神を指すのだと見えてきます。

さらには、櫻(さくら)。 

日本の象徴でもある富士山。 その神、木花咲耶姫(このはなサクヤひめ)のご神名に見られるように、櫻が木に咲く様子は日本の象徴でもあります。 

そのさくら、サは農耕、稻作の神。クラは座で、磐座(いわくら)のように、神の靈が依られる依り代を指す言葉です。 

つまり稻作の神の依り代になる木が櫻なのです。 

春、稻種を蒔く頃、稻作の神は櫻の木に依られます。 

櫻の花が咲き誇るのは、その証。 

そして、稻穗が稔り収穫される秋までの間ご鎮座なされ、稻穗をお護りくださいます。 

だからこそ、春に櫻を愛でて花見をするのは『饗膳の儀』。 

天に盃を高々と掲げ、感謝の心で神様と契りの盃を交わすのです。 

そうやって、サの神とずっと一緒に暮らしてきたのが日本の歴史でした。

そのサを繰り返すことで強調された酒(ササ)とは、サの神の神氣が宿るお米を、口噛み(カミ)酒、麹カビ(カミ)という、神の力により醸(カモ)されたものであり、

『日本の人達の感謝の心で育て、稻穗に宿った神氣が、神の力で醸され凝縮された雫(しずく)。』 

それを献げるからこそ、お酒を献げることは『尊』いのですね。 

そんな先人と神様との歴史、伝統、文化とともに、國酒、御神酒を神様に献げられるなんて、なんと誇らしく、なんと幸せなことでしょうか。 

だからこそ、本来日本でお酒を呑む時は、 「日本の國と子たちの神様に、ますますさかえあれ」 との心を籠めて、こう声をあげるのです。

『彌榮(いやさか)!』

このように、神様に献げるためのお酒、つまり御神酒を醸すため、イセヒカリのお米づくりが始まりました。 

それは新しい時代の胎動とも言える幕末の民衆運動「ええじゃないか」の始まりの地、豐橋に今回偶然出逢った『ご神田』。 

そこで、御鍬祭や御田植祭、抜穂祭などといったさまざまなお祭りをすべて自分たちの手で行い、神様に見守られながらお米はすくすく育ち、昨年平成26年の秋に稔りました。

今年の元日には、日本で新年で一番早く行われる祭、お酒の神様である奈良は大神神社の「繞道祭(にょうどうさい)」の最も大切な「御神饌(ごしんせん)」という御神火を運ぶお役をご奉仕し、御神酒を醸すことのご挨拶をさせていただきました。 

そして2月に、最初のまつりから一年以上の歳月をかけて、 醸された御神酒は搾りを終えました。

この『御神酒 國靈(くにたま)』の『國靈』には、いくつか意味があります。

まず國靈は、コクレイと読むことができます。そこに、穀靈(コクレイ)という稻に宿る神様という意味が籠められています。 

そして文字通り、國(くに)の靈(たましい)。 八百萬の神と言われるように、日本の國そのものもまたひと柱の神です。 

それは、日本の天皇にこの日本の國土を治めることを認め、委ねた存在。 

それはまた、日本國土という大龍体神を指して『國常立太神』のことを言う場合があります。 

はたまた、即位の儀式である践祚大嘗祭を経て天皇に宿られる『天皇靈』を指すときもあります。 それは、いのちを産み出す源としての『國常立太神』と、いのちを育む源である『天照太御神』の合わさった神様であるとも言われます。 

そんな神様、國靈に見守られ、私達は生まれ、育まれ、そして日々生かしていただいています。

そして『くにたま』は、くに=地、たま=球でもあります。 つまり『くにたま』とは、地球そのもの。地球に宿られる神靈そのものなのです。

地球(くにたま)そのものに影響を及ぼすという重大な使命と責任、それを任せてくださるっているという光栄。 日本の土の上に生かしていただいている人は、それを帯びているのだと思っています。

そういったものすべてへの感謝、そして誓いを形にして、神様に奉納したい。 そして、地球(くにたま)の明るく穏やかな未来への力になりたい。 

『御神酒 國靈(くにたま)』には、そんな想いが籠められています。 

今年平成27年は日本にとって、世界史において類稀なる江戸の平和國家を築いた、徳川家康の没後400年。 
また平安の世400年の基礎を築いた、空海の高野山開創1200年でもあります。 

江戸と平安。 

ともに文化が栄え、現在の日本の特色を創り出した時代とも言えます。

その基礎を築いたお二人の先人の功績にならって、戦後70年という世界の節目に、今度は日本が世界の見本を示すことで新時代の扉を開く。 

そのことを神様へ誓うためのプロジェクトが『御神酒 國靈(くにたま)奉納プロジェクト』なのです。

今回は、お酒のプロフェッショナルである岡崎の酒店「浪漫酒創庫あつみ」店主、渡会さんにご協力いただき、神様にお届けするために最高のお酒となるよう、お米の磨き具合や、酵母の指定などをしていただきました。 

そして渡会さんのご尽力により、愛知県奥三河の「蓬莱泉」や幻の酒「空」「吟」で知られる関谷醸造さんに醸造をお願いしこの二月に完成いたしました。

出来具合を渡会さんは、「予想通り知る限りに於いて最高の出来になっていると思います。」

年間200本以上のお酒を嗜まれる常連さんは、「寝かせた酒だと香りが死ぬのにこれは新酒の香りがする。そして味は10年寝かせた酒の味のようにまろやか。神様に献げるには相応しい酒。素晴らしい物だと思います。」 といずれも最高の評価をくださっていらっしゃいました。

この醸されました御神酒 國靈(くにたま)は、伊勢の『神宮』や、夏には私の故郷『出雲大社』への奉納を予定しています。 

また、ご縁あるお宮へ自ら参詣の上奉納するほか、たくさんの方々がこのプロジェクトにご賛同いただきました。

その皆様の手により、 沖縄、奄美、九州、中國、四國、淡路、近畿、東海、北陸、甲信越、関東、東北、そして北海道と、なんと日本國中の全地方の神々様のもとに奉納されることになりました。

これにより、國靈の御稜威(みいつ)が日本全土に行き渡る支えになれれば、これほどありがたいことはありません。

このたびご縁を賜った神様が、どうぞこころよく受け取ってくださいますよう。

そしてこの御神酒『國靈』が、日本の神と人、過去と未来、それをつなぐ歴史、伝統、文化に、 

そして地球のあまねく地の明るく穏やかな、真に平和な日々の到来に役立ちますことを思って。 

御神酒 國靈(くにたま)奉納プロジェクト
代表

ABOUT ME
代表おおくに
神話の故郷出雲大社から歩いてすぐの杵築の地、母の実家で生を享け、出雲大社を遊び場として育つ。   成人してからも神々を好きな思いが高じて各地の神社を数多く参るなか、縁をいただいて神籬磐座祭祀を司る古神道系特別上級神職資格を平成三十年に取得するに至る。   20年以上連れ添う妻と一人息子を大切にし、旅をこよなく愛する。 曲がったことを「どうなの?」と思う気性も含めてさすらいの英雄スサノヲノミコトの影響かな、たぶん笑。 生まれ故郷の出雲はもちろん、白山や伊勢等の魂の聖地に強く心魅かれる。 また、20代に現地で働いてもいた沖縄も大好きな第2第3の故郷。