尊という字は、神の目線から作られたような氣がしています。
まず上半分の、酋(しゅう)。
酒の入った甕(かめ)の象形文字である酉(とり)の上から出る点々は、醸されたての香り立つ氣。

醸されたてホヤホヤのお酒を表しているんですね。
酋長とは本来、酒を醸すことを任された責任者であり、それは集落の長の仕事。
それだけ酒を醸す者は『尊』敬されていたのです。
そして下半分の寸の字は、両手を添えている人の姿。
つまり『尊』の字があらわす様子は、醸されたての甕から香り立ち昇る酒をうやうやしく献げ持つ人の姿なんですね。
すなわち、
『醸成(カモナリ)し酒(ササ)を献(ササ)ぐ人は、そしてその姿は、尊い。』
ということなのです。

神様がうむうむ^ ^、とその人、その姿をご覧になっている様子が伝わって来ませんか?(-_^)
あなたが御神酒を神様に奉納する姿は、神様にとって尊いものであるのです。
では何故、それが尊いのでしょう?
先ほど、敢えて酒を『ササ』と読みましたが、本来ササとも呼んでいました。
サのつく言葉を挙げていくと、不思議な共通点が見えてきます。
早苗(さなえ)、皐月(さつき)、早乙女(さおとめ)、五月雨(さみだれ)…

このように、田植えにまつわる言葉のにこのサが付きます。
さらには皐月の皐の字は、

『神に献げる稻』
の意味があるようです。

サとは、農耕や、神に献げる稻を作ることを指すのだと見えてきます。
さらには、櫻(さくら)。

日本の象徴でもある富士山。その神、木花咲耶姫(このはなサクヤひめ)のご神名に見られるように、櫻が木に咲く様子は日本の象徴でもあります。
そのさくら、サは農耕、稻作の神、クラは座。磐座(いわくら)のように、神の靈が依られる依り代を指す言葉です。
つまり稻作の神の依り代になる木が櫻なのです。

春、稻種を蒔く頃、稻作の神は櫻の木に依られます。
櫻の花が咲き誇るのは、その証。
そして、稻穗が稔り収穫される秋までの間ご鎮座なされ、稻穗をお護りくださいます。
だからこそ、春に櫻を愛でて花見をするのは『饗膳の儀』。

天に盃を高々と掲げ、感謝の心で神様と契りの盃を交わすのです。
そうやって、サの神とずっと一緒に暮らしてきたのが日本の歴史でした。
そのサを繰り返すことで強調された酒(ササ)とは、

『日本の人達の感謝の心で育て、稻穗に宿った神氣を凝縮させた雫(しずく)。』
それを献げるからこそ、お酒を献げることは『尊』いのですね。
そんな先人と神様との歴史とともに、國酒、御神酒を神様に献げられるなんて、なんと誇らしく、なんと幸せなことでしょうか。

だからこそ、本来日本でお酒を呑む時は、「神様の日本の國と子たちよ、ますますさかえあれ」との心を籠めて、こう声をあげるのです。

『彌榮(いやさか)!』

そんなことをいつも教えて下さるのが、今回の御神酒 國靈(くにたま)づくりでも大変お世話になった、浪漫酒創庫あつみ、渡会さんという酒屋さんなのです。